■コード進行の実用的知識とヒット曲の転調テクニック


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2004年3月25日更新

 通常の曲では、ハ長調で説明すると、

   C, Dm, Em, F, G, Am, Bm-5

という7つの和音(コード)が中心となっている。これは、ピアノの白鍵をひとつ置きに3つの音を鳴らし、それをひとつずつずらしただけのもの。これらを「ダイアトニック・スケール・コード」と言う。
 ひとつ置きに4つの音を鳴らすと

   Cmaj7, Dm7, Em7, Fmaj7, G7, Am7, Bm7-5

となり、ふわっとしたモダンな雰囲気になる。

(step-1)
 もっとも単純なコード進行は、CとFとGでできている。
 C:「トニック(T)」   :Em、Amもトニック的に使う。新しい曲ではA(maj7)で終止するものがある。
 F:「サブドミナント(S)」:Dmもサブドミナント的に使う。
 G:「ドミナント(D)」  :Bm-5、Emもドミナント的に使う。
 コード進行の法則って、極めて簡単。ドミナント(G, Bm-5)からトニック(C, Em, Am)に行きたくなるってことだけ。これを
「ドミナント・モーション」、「セブンスの解決」
と言う。

(step-2)
 ダイアトニック・コードに加えて、欠かせないのが、
   A7, B7, C7, D7, E7, (F7)
というコード。これらは「セカンダリー・ドミナント・セブンス」と呼び、どう使うかというと、G7→Cというドミナント・モーションのように、それぞれ
   A7→Dm, B7→Em, C7→F, D7→G, E7→Am, (F7→Bm-5)
という風に使う。特に
   D7→G7→C
というコード進行は、ドミナント・モーションが2重になっているので、D7を「ダブル・ドミナント」と言う。

 以上のダイアトニック・スケール・コードとセカンダリー・ドミナント・セブンで、ハ長調だけでなくイ短調の曲も含めてたいてい伴奏できる。どんな調でも通じる方式で書くと、以下のとおり。

T   S   T/D   S   D    T      D
I,   IIm,  IIIm,  IV,   V,   VIm,   VIIm-5(ダイアトニック・スケール・コード)
↑   ↑   ↑   ↑   ↑   ↑   ↑
V7    VI7   VII7  I7  II7  III7  IV7  (セカンダリー・ドミナント・セブン)  

(Step-3)
 このほか、よくあるコード進行として、次のようなのがある。
   F→Fm(A♭)→C
   G7sus4→G7→C
   E7sus4→E7→Am
   Gaug7→C

 ちなみに、イ短調のダイアトニック・スケール・コードは、

   Am, Bm-5, C, Dm, Em(E), F, G

 これを見ると分かるように、Cのダイアトニック・スケール・コードとセカンダリー・ドミナント・セブンの中に全部含まれている。従って、以降はあえて長調のダイアトニック・スケール・コードに含めてしまうことにする。

(step-4)
 ポップスでは、さらに転調によって不思議な雰囲気を作り出す。最近のポップスの流行として、1音半(短3度、ギターで言えば3フレット分)上がってまた元に戻るものがある。なぜ1音半なのかというと、CからCmに転調するのはすなわちE♭だから1音半上なわけです。あるいは、Amで終止する代りにA(maj7)で終わってそのままAのダイアトニックに移れば、1音半下なわけです。

SEASONS(浜崎あゆみ)
いい曲ですね。Fのダイアトニック・コードからA♭のダイアトニック・コードに1音半上への転調。転調だなんて気付かないほど自然なのが見事。

Dearest(浜崎あゆみ)
これもいい曲。A(F#m)のダイアトニック・コード(D→E→C#m7→Dmaj7)から F#7sus4→F#7 を経てC(Am)のダイアトニック・コード(Fmaj7→G6→Am7→Em7)に1音半上への転調。
 F#7sus4→F#7の次はドミナント・モーションだと Bm(D)となるところを、Fmaj7 に進むとは驚くべき意外性がある。メロディーもF#からCへ4度半のジャンプは実に歌いにくい。

my graduation(SPEED)
Eのダイアトニック・コード(E→E(onD#)→C#m→C#m(onB))からGのダイアトニック・コード(Em→Em(onD)→Cmaj7→Bm7)に1音半上への転調。転調後の短調が劇的な効果を上げている。

Never End(安室奈美恵)
Fのダイアトニック・コード(B♭→F)からA♭のダイアトニック・コード(Fm)へ。やはり1音半上への転調

TUNAMI(サザンオールスターズ)
Dのダイアトニック・コードからFのダイアトニック・コード(B♭→C7→F)へ。これも1音半上への転調。

Rearch for the Sky(倉木麻衣)
Gの前奏からB♭、B♭からD7(III7)を経てGに1音半下への転調。

Secret of my love(倉木麻衣)
B♭のダイアトニックからD♭のダイトニック(B♭m)へ1音半上への転調。

あなたのキスを数えましょう(小柳ゆき)
Aのダイアトニック・コード(A→E→F#m→C#m)から、F→G→A。

Woman "Wの悲劇"より(薬師丸ひろ子)
Cのダイアトニック・コード(Am7→Dm7→G/G(onF)→Em7)から、Am→Am(onG)→Am(onF#)(F#m7-5)→B7→Em→F(onG)→G7を経て、Fのダイアトニック・コード(Gm7→Gm7(onC)→Fmaj7→Dm7)。Cのダイアトニックに戻る。

Perfume of Love(glove)
Cm(E♭)から1音下がってB♭m(D♭)、1音半上がってC#m(E)、半音上がってDm(F)という複雑な転調。

Time goes by(Every Little Thing)
Fm(A♭)から、うーん・・・。

きみなき世界(松任谷由美)
Gのダイアトニック・コード(C→G→Am→B7→Em)。トニックにG(Em)ではなく、E(Emaj7)を使っている。そこから・・・、わからん。

ベルベット・イースター(荒井由美)
Fのダイアトニック・コードの変形型(Dm→A→Am→G→B♭→E→A)からCのダイアトニック(Fmaj7→Em7)へ2音半上がる。

Hellow, my friend(松任谷由美)
Fのダイアトニック(Gm7→Em7→A7→Dm→Gm→F)から、いきなりD♭のダイアトニック(G♭maj7→Fm7)に2音下がる。

ドリーミング・ガール(山下達郎、NHK朝ドラ「ひまわり」主題歌)
 12弦ギターが心地よい。キーはF#。BM7→A#m7→G#m7|C#7→F#M7からBm7|E7→AM7→B→C#sus4(やはり1音半上がる)、そしてBM7|C#7→F#M7|D#m7→BM7|C#7→F#M7|D#m7に戻る。
 分かりにくいのでキー=Cで書くと、FM7→Em7→Dm7|G7→CM7(Cのダイアトニック)からFm7|B♭7→E♭M7→F→Gsus4(E♭のダイアトニック)、そしてFM7|G7→CM7|Am7→FM7|G7→CM7|Am7に戻る。

1) コード進行がわかる本(藤井英一、(株)ヤマハミュージックメディア)
2) ちょっと便利なコードの知識 音楽用語集(小林一夫、中央アート出版社)

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